起業前36話:威風堂々

テキサスの富豪、ロス・ペロー氏の
大きな声が澄みきった青空に
こだましていた。

普段は耳を通りすぎていた
何気ない言葉も、この日に限っては
胸の奥にまで響く。

威風堂々の音楽と共に、こみ上げてくる感動は、
この幸福感は、突発的な幸運な出来事の中にも、
クスリで得られる恍惚感のなかにも存在しない。

長い時間をかけて、壁を乗り越えた者にしか
得ることのできないものだ。

限りなく広がる空を見上げながら、
自分の可能性も
限りなく拡がるように思えた。

私は客席を振り返った。
家を出るなら親子の縁を切ると怒った父と、
その間で心の支えとなってくれた母がいた。

今ならわかる。
経営が大変な時に、2週間も会社を
不在にする大変さも。

長い極寒のボストンの冬そのものの
留学生活もおわり、1995年春、
憧れの黒い角帽とマントを着けて、
私は夢にまで見た卒業証書を手にしていた

この日の、無数の角帽が投げられた
青空を、私は一生忘れないだろう。

そして、今は亡き両親との
たくさん笑った最後の旅も。

本当に、ありがとう。

●わかな語録:壁を乗り越えた者にしか、得られないものがある。

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