起業前6話:人生初の無断欠勤の理由が、まさかの○○○とは

圧倒されたのは、さすがの日本テレビ、ウルトラクイズの企画は本当にダイナミックで壮大、かつ面白かった。まさか自分が出ることになるとは夢にも思わなかった。番組制作会社はテレビマンユニオン。この企画を考えた方、心から尊敬します。

例えば、グアムでは泥んこクイズ。遠くに人間以上にでかい⭕️と✖︎の紙が2つ。問題に対し⭕️と思ったらそこ紙に思いっきり飛び込む。正解だとマットの上に落ちる。不正解だと泥の中に落ちるというとんでもないクイズ。

私の番、当然問題はわからない。だから1/2の確率にかけるしかない。走る!飛び込む!ふわっと体が浮く。目を開けるとマットの方に落ちていた。やった!次のハワイに行ける。私は、万歳をしながら起き上がる。

続いてかなり横幅のある素敵な女性の番、どっどっどっと地響きを立てながら走り飛び込む。ぼっっとーんと彼女は泥の中へ落ちた。

「なんだか丸い置物みたいだな」座っている泥だらけになった彼女に、福留アナはにこやかに言った。ここで21名は次のチェックポイント、ハワイ行きが確定した。

ハワイに行けることになった私は家に電話する。母が出て、社会人の自覚はないのか、帰ってきなさいと、また叱られる。そして、気が重いが会社に電話する。

「何考えてんだ?9連休もとったよな?いつ帰るんだ?」

「はい、すみません。落ちたらすぐに帰ります、、。」

「落ちたらじゃない、いつ帰るんだと聞いている」

と、母にも上司にも問い詰められた。ヤバいと思いながらも、私たちはハワイへ移動、どこまでも青い空、透き通った青い海を見て、私の心は踊り始めてしまう。いや、ダメだ。みんな仕事をしている。楽しんではいけない、いけない。

しかし、日テレは、私たち挑戦者に最高級のホテルに泊まらせてくれて、かつ食事もとても美味しい。食べるのが大好きな私は、毎度の食事がとても楽しみだった。移動日はクイズをしなくて良くて、観光までさせてくれて、午後はビーチで泳いだ、、泳いでしまった。

翌日はクイズ本番日。ハワイでは4チームに分かれて綱引き。負けた1チームが全員日本へ帰国させられる。綱引きに勝ったチームに回答権があり、惑星の名前は?など複数回答ある問題で、全員が正解を言わなければならない。暑い中、いい歳の大人たちが、真剣に綱引きをする。

私が振り分けられたチームの名前は「かげろう」。由来は消え入りそうなチームだからだという。泥んこの「置物」もひどかったが、「かげろう」もかなり失礼な名前である。

確かに「知力」または「体力」にかけている人たちの集まりで、「かげろう」は、一番の弱小チームだった。私は「知力」に欠けている方ね、力はあるけどね。

そして本番が始まる。「オーエス!」「オーエス」どんどん引っ張られる。指の皮がすりむけて行く。かげろうチームの男性は「知力」はあるけど「体力」がなくて頼りにならない。だから私は死ぬ気で、綱を引っ張る。相手の疲れを狙い、回答権をやっと得る。

しかし、チームメンバーの一人が緊張のあまり間違えた回答をいってもう一度。そんなことを繰り返し、2時間以上が過ぎた。声も枯れてきたし、既に腕の感覚もない。ただでさえ回っていない頭が、全く回らない。

そんな中で、2チームは軽々と勝ち抜けた。残り1チームと「かげろう」チームの対決だった。負ければ私たちは、日本へ帰国組となる。私はあれだけ早く帰国せねばと思っていたにもかかわらず、最後全ての力を出そうと誓い合い、全員で「オーエス!オーエス!」と本気で叫ぶ。

もうこれ以上出せない、というほどの掛け声と力で綱を引っ張る。剣道部の練習より辛い。辛すぎて段々と涙が出てきそうになる。太陽の光がジリジリとして肌を容赦なく照らす。同時に、絶対に勝ち抜いて本土に行きたい、いや、絶対に行く、という気持ちが高まってくる。そして私はまた「オーエス!」と声を張り上げた。

相手チームの力が抜けた瞬間を狙い、かげろうチーム全員で「いまだ!」と全力で綱を引っ張った。そして回答権を得る。もう二度と綱を引けないほど消耗した私たちは、一人一人回答して行く。「知力」に欠けているのは二人。緊張時に「知力」を出せないタイプな女性と本当に「知力」のない私。私の回答のタイミングでチームメンバーに緊張が走る。

なんとか無事に私は正解。そして、もう一人の女性の番がきた。彼女は絶句している、顔も青ざめて表情も無表情のままだ。お願いーー。次の問題に正解できる自信は私にはない。全員が祈るような気持ちで彼女を見つめる。もうダメだと思った時、彼女が正解を口にした。続いて次の人も正解、最後に体力ない男性が回答。

「正解!」と福留アナ。その瞬間に私たちのアメリカ本土行きが決まった。私たちチームはみんなで抱き合って喜んだ。喜んでいたら、涙が出てきた。大人になって、綱引きを、それもこんなに泣くまでやることになるとは、、。

そして、その日、会社に電話をしなくてはと思っていたのだが、体力と気力の限界まで綱引きをし、泣いたり笑ったりで、すっかり忘れてしまった。

とうとう初の無断欠勤をやってしまった。。。

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