起業前28話:父がワシントンDCにやって来た!・・・その後の父と娘の関係

クラスで満点を取って以来、友達がたくさんできた。友達も増え言葉も少しは通じるようにり、私の留学生活は苦悩から楽しみに変わっていった。

そんなある日、「今度、カナダにいく用事ができたからおまえの所にいくよ。」と国際電話がかかってきた。留学に猛反対した封建的な父が、もうすぐワシントンDCにくる。

ワシントンDCの空港に少し緊張して迎えに行った。いかにも新調したばかりらしいスーツと黒いサングラスの似合わない背の低い父がきょろきょろしていた。

2日しか時間のない父を観光案内して、久しぶりに少し高級なレストランにも行った。その後、父は私の部屋を見たいと言うので、私がルームメイトと住んでいるアパートに案内すると、絶句していた。

「こんなところに住んでいるのか?何もないじゃないか」

「いーから、いーから。これで十分なんだから」

なんだかんだとお金がなくなるのは早い。だから節約をしてアパートも大学の隣で歩いていける学校の寮のようなところだった。父は、こんなところから早く引っ越せなどと、ブツブツ言っていた。

子供時代はとても優しかった父。思春期以降は、いつも頭ごなしに怒られて、事あるごとにブン殴られていたので父のことは大嫌いになった。しかし父は機嫌の良い時は、天然で面白い人だ。この二日間、珍しく親子ゲンカもせずに楽しく過ごした。

楽しい二日間は瞬く間に過ぎて、私は父をワシントンDCの空港まで見送りに行った。いつも私は「旅立つ人」で見送られる側だったけど、「見送る人」って淋しいものなんだな。私はいつも両親にこんな思いをさせていたんだねと改めて思った。ということを手紙に書いて母に送った。

―― 後日談 ――  

父の友人より「もう大変だったんだよ。カナダ空港で温井を出迎えたら、いきなり大泣きしたんだからなぁ。娘が寂しそうに空港で一人立っていたって言ってさ。あの頑固な温井がねぇ」

ママより「和佳奈からの手紙を読んだ直後ね、パパは手紙を抱えたまま前に倒れて震えてたのよ。持病の心臓発作かと大騒ぎしたら、和佳奈の手紙読んで泣いてたのよ(笑)」

父から母へ「見た瞬間、涙が出てきそうになったね。粗末な場所に住んでいるよ。娘ながら何が良くてアメリカなんかに行ったんだか、理解に苦しむね。」

和佳奈より「やっぱりパパの監視のない門限のない生活は天国です。自然があって空気もきれいで、自分のやりたいことをやっている毎日はとっても楽しいです。」

自分のやりたいことをやるために親元を離れた。親子の縁を切ると言っていた父だが、こうして遠いアメリカの東海岸まできてくれた。父とは、お互いに思いやる気持ちも少し出てきて、これくらいの距離が、とてもいい気がした。

●わかな語録:親と物理的に離れると、違う絆が生まれる

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留学を父に打ち明けて「親子の縁切り」は起業前15話、父の決断起業前16話

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