ワシントンDCには、日本から寄贈したという3000本の桜の木があり、春は美しく桜が咲く。しかし、私は桜を楽しむ余裕もあまりなく、語学スクールに通いながら、焦っていた。スペイン人やヨーロッパ人の友人たちは、日毎に見違えるような成長を見せた。
一方、私はかわらない五体満足版「ヘレン・ケラー」である。見えるけれども、読めない。声は出るけれども、話せない。聞こえるけれども、理解できない。
ある日、クラスで先生が「英語を間違えて恥ずかしかったことを言い合おう」と言った。みんな、赤っ恥を面白おかしく話して散々クラスで盛り上がった後、先生が一言。「わかなは?」
私は、ほとんど話せないので、恥ずかしいことすらなかったと言いたかったのだが、一言英語で「ないです」とだけ言った。するとラテン系とアフリカからきたクラスメート「あるじゃないか、言ってもいいか?」と笑っている。Yes,といい、私の目撃された赤っ恥を聞いた。
ラテン系男子がいう。「わかなはね、What’s up? っていう度に上を見るんだよ」と言い、クラス一同大爆笑した。私はその時まで、What’s up? = 上に何がありますか?だと思っていた。
なぜアメリカでは、みんな上に何がある?って聞くんだろうと思っていた。そして私は生真面目に「Nothing」(何もないよ)と答えていた。まさか挨拶だとは。調子どう?元気?みたいな挨拶と同じだという。まぁNothingと答えても辻褄は合っていたからね。。日本の英語教育では習わなかったからね。
続いてアフリカ系男子がいう。学校の下のスーパーで私が買い物してお会計をしているところを見たという。キャッシャーが私に「Prastic or Paper?」(プラスティックと紙、どちらにしますか?)と聞いた。買ったものを入れる袋は「ビニール袋」か「紙袋」かと聞かれていたという。
そして、私は「Cash Please」(現金でお願いします)と答えていたという。更にみんなが爆笑する。しかし、私はそこで初めて知る。プラスティックが「クレジットカード」で、紙は「紙幣」ではなかった!ということを。。
と、日常のだれもが毎日使う英語を、私は知らなかった。
●わかな語録:恥の数だけ、学べる。恥は多い方が良い。