起業前3話:電話で殴られた「お局様」と「新人類」女子

当時の証券会社の支店長は、昭和の時代の「ザ・金持ち」を絵に描いたような人だった。丸顔で憎めない顔、野太い大きな声、お腹が出て貫禄のある、チャーミングで面白い人だった。一旦、怒るとその声は支店中に響き渡り、数字の出せない営業マンを電話で殴っていた。昔の電話は重かったから、それなりに痛かったと思う。

そして、時に営業マンの頭ではなく、電話の方が壊れる。私たち同期の間では、●●さんの頭は電話より硬いんだって、と更衣室で着替えながら噂をしていた。部活でも殴るコーチとか普通にいた時代だったので、職場でそんなことがあっても大きな問題にはならなかった。(それどころか笑いのネタに、、、)今だったら大変。

そんな支店長も女性のことだけは殴らなかった。特に一人のお局さまは、言いたいことを言っても支店長は怒らなかった。

しかしこのお局さまは、とても怖かった。大きな声で怒る、一言返そうものなら機関銃のように撃ち返される。また困っている人がいると、より困る状況にする。

例えば、私が店頭でお客様が目の前に座っていて、新規のお申し込みを受けている時に、内線で「伝票が間違っているわよ、書き直して」とでかい声でいう。

「すみません。あの、急ぎどの伝票か教えていただけませんか?」とお客様を待たせたくないので、お局さまに聞く。

「あなた、そんなこともわからないのっ!研修で習ったでしょ!」

「はい、すみません、今回だけ・・」(ガチャン)

と電話を切られて、今のでかい声がお客様に聞こえてなかったか心配しながら、私はお客様に愛想笑いをして、こっそり小走りで営業の先輩に聞きに行く。

とにかく、お局さまの性格は地雷だらけ。私たちバカ揃い同期は交代交代で、毎日そのお局さまの地雷を踏みまくっていた。

ある日、そのお局さまが大声で泣いているという。聞くところによると、支店長に強めの反論をしたら、支店長がお怒りになり、電話でお局さまは殴られたという。

そして、電話は壊れ、、新しい電話が注文されたらしい。。

更衣室で私たち、バカ新人類同期は「支店長、最高!」と言って、みんなでガッツポーズ。

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● わかな語録:「個人の感情で仕事をしない」

◆ 続きはこちら 起業前4話:新人女子の「3時間お茶くみ」と「正座させられる」証券マン

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起業前1話:バブル時代、ある目的のために給料で「銀座証券レディ」の道を選ぶ

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