春のワシントンDCは日本から送られた3000本の桜が満開だ。日本のようにカラオケとか持ち込む人もいないので景色を静かに楽しめる。私は、その時期にリンカーンに隣接しているメリーランド州にある誰もが入れるコミュニティカレッジに、とりあえず入った。もちろん条件付き入学。英語クラスを履修しながら、カレッジの単位も取れるというもの。
そこで最初に学んだ秘策は、「私にチャンスをください」と教授だろうと、誰だろうと絶対に言えと言う。そして、アメリカ人は本当にチャンスをくれるという。
ある日、試験が戻って来た。結果日本での成績がビリギャルなので、ここではオールAを取らなければ、自分が行きたい大学に転校するのは難しいだろう。こんなところで昔の成績が響くとは思わなかった。
しかし、最初の学科の試験で頑張ったけど結果はB。いやいや、Bを取ってしまったらだめだ。行きたい学校に行けなくなってしまう。
早速、教授のオフィスまで押しかける。
「私に、なんとかチャンスをいただけませんか?オールAを目指しています」
しどろもどろの英語で言う。さらに昨晩練習した英文を思い出しながら、
「母国語ならAを取れていたはずです、レポートを書いて提出するので、そのクオリティを見て最終成績をください」
とお願いした。すると教授は、
「Wakana, よし、わかった。君にチャンスをあげよう」
とOKしてくれた。
そこから私は一週間、図書館にこもり、レポートを書き上げた。もちろん英語チェックはネイティブなアメリカ人クラスメートにお願いして、中身については秀才のクラスメートにもアイディアをもらいながら。
- 自分の頭が悪ければ、頭のいい人に聞く。
- 自分の英語力がなければ、英語ができる人にみてもらう。
自分に欠けている部分を持っている友人を作れば、何度も何度も見直して、教授のオフィスを再び訪ねた。そしてほやほやのレポートを見てもらった。
すると嬉しいことにその教授が私にくれた最終成績は、「A+」。
心から嬉しかった。
アメリカ、本当にチャンスをくれる国。
そして、受け入れてくれる国、アメリカ。
私は、日本ではトライしたことのなかった体験にワクワクしはじめていた。
●わかな語録:日本でも言ってみよう「私にチャンスをいただけませんか?」