出店寸前にもつれる人間関係「全て辞めてやる!」その2

突然、救世主がアフリカに旅立った2週間後、ミキと私はバンコクの卸市場にいた。安いパッケージを大量に購入するためだ。

私たちの担当は新商品開発とそのパッケージの素材選びとデザインである。

日本のパッケージは高品質だが高過ぎて、原価が上がってしまう。良い物だからと原価を上げていくと、良い商品でも売上は伸びない。

だから素材そのものをどこから調達するのか、どのレベルまで交渉するのか、ココでの頑張りが後々の楽ちんを生む。

時に、ココで何の交渉もせず、単純にコストを積み上げ自分たちの利益をのせた金額で取引したいと問い合わせが多数くるが、そんな商品を置いたら大変だ。企業努力をしなかったしわ寄せは全てお客様の負担となってしまう。

経営の技術を磨いて、適正価格でをお値段以上の質をだすのが鉄則。

カンボジアで入手できるパッケージは質も良く、結果割高になってしまう。たった十円の違いでもチリツモで年間百万円以上の差になるから、たとえ面倒くさくても費用を抑えておきたい。

灼熱の中歩き回り、ミキがリストアップしてくれた店を回る。ようやく妥協できるレベルの素材を見つけて買いつける。様々なパッケージや箱がホテルに届くと部屋中に広げてそれらを一つ一つ検品する。そしてカンボジアまで運ぶ。
面倒くさくて体力のいる部分だ。

大変なのは最初だけと言い聞かせて、いよいよ私たちは首都プノンペンに到着した。   

先にカンボジア入りしていた救世主は
「遅いな、遊んできたんだろ?」

いきなり予定通りに到着した私たちを遅刻者扱いをした。更に遊んでいたというヌレギヌまで。

因縁つけ返したいのをグッと堪えて、私は笑顔で言った。
「遊ぶ暇なんてないですよー。大変だったんですから」

それでも救世主は
「遊んでる場合じゃないからな」
と全く人の話を聞いていない。

一気に気分が悪くなったが、
さぁ、ここから数千点の商品をシェムリアップに運ばねばならない。
業者に頼もうと思ったが、経費削減の鬼である救世主はダメだという。私たちのいるプノンペンか、シェムリアップは車で6時間の道のりだ。

結果、全員飛行機移動は高くなりすぎてあり得ない。私たちとカンボジア人女性店長と商品を共に移動するから大きなワゴンを借りて、パンパンに商品を詰め込むことにした。

物を売るってことは、物を移動させなくちゃいけないから、本当に大変だなと改めて思う。

いよいよ出店するシェムリアップへの移動2日前。そこでまたあり得ない事件が起こる。

この記事が気に入ったらシェアしてね
Facebook
Twitter
LinkedIn

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事
Contact
温井和佳奈への取材、講演依頼、途上国SDGsプロジェクトに関するお問合せ、その他お仕事に関するご相談はこちらから