出店寸前にもつれる人間関係「全て辞めてやる!」その11

ディスプレイや商品発注など、どうなっちゃってるかなと心配もあったが、残りは自分たちでやったと言う。私がいなくても救世主が仕込んだ現場の仕組みは回り始めていた。
 
それでも、私は救世主との仕事はもう辞めようと思っていた。

私はスタッフから質問が来ても救世主に聞いてと返信して、何にも私からは指示も出さず、やっていたのは給料の振込だけだった。本当に経営者失格だ。


帰国後3週めの終わり頃、私は少しだけ救世主の視点から現実をもう一度見てみようと思った。

「何の心配もいらないし簡単だから。店舗オープンは俺が全部やるから」

再び救世主の言葉が蘇る。

コロナで廃人と化していた私はこの言葉を聞いたから、前に進めた。それは認める。

現場に入らない口だけのコンサルに、これやるべき、あれやるべきと言われるだけだったら、どう考えてもV字回復なんてできなかった。

実際、救世主からしたら社長である私が自分のタスクは終わったので、あと店舗オープンはよろしくね、みたいな行動は、あり得ないと思うだろう。

だから思いっきり罵倒されたんだろうね。

わかっちゃいるけど、でもね、もう感情がダメなのよ。
感情って、すごいな。ロジックは感情の力に負けてしまう。

今度は感情抜きで考える。救世主とやれば、私は夢を実現して社会貢献できる、しかも自分も金持ち確定。出店は大変だったけど、あとは仕組み化されて楽そう。

ね?自分でよくわかってる。それでも、自分の感情がついていかないのよ。

帰国から1ヶ月も経った頃、
「何してんの?」と救世主から久しぶりに電話があった。

私の声はこわばった。どうしても拒絶反応が出てしまう。

– つづく –
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